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高崎市の呼吸器科・アレルギー科・胃腸科

高崎,呼吸器科【佐藤呼吸器科医院】アレルギー科,咳,COPD,睡眠時無呼吸症候群,在宅酸素療法,人工換気療法,減感作療法

長引く咳

長引く咳とは?

咳は通常患者さんが医療機関を受診する理由のうちでもっとも多い症状で、どんな方でも咳で困った経験の一度や二度はあると思います。通常風邪をひいた時などに出る咳は近所の医療機関の治療で止まる場合が多いですが、それで止まらず長引いてしまった咳や、激しくて日常生活に支障を来すような咳で来院される方が、当院の初診患者さんの70%以上を占めます。

咳の分類
  1. 急性咳嗽 発症して3週間以内の咳
  2. 遷延性咳嗽 発症して3週間以上続く咳
  3. 慢性咳嗽 発症後8週間以上続く咳
    (日本呼吸器学会 咳嗽に関するガイドラインより)

 これらの咳の原因は様々です。喘息については他項で述べていますので、ここではその他の咳の原因に付いて簡単に述べてみたいと思います。

感染症による咳

風邪をひいたあとに咳が止まらないという事例は多く見られますが、多くは急性期を過ぎると簡単に治まります。なかなか治らない感染症がらみの咳は次のようなものです。また感染後の気道過敏PIHR(Post Infectious Hyper Responsiveness)という概念があって、感染症は治療で治ったのだが、その際に傷害された気道が充分治らずに咳が続く場合もあります。こういった場合は専門医の治療が必要となります。

  1. マイコプラズマ感染症
    特殊な細菌による感染症で、子供の場合しばしば肺炎を起こします。名前はたいそうですが、それほど怖い病原体ではありません。しかし効果のある抗生剤が限られているので、的確に診断して治療しないといけません。
  2. 成人百日咳
    百日咳は元々赤ん坊の病気で、死亡率が10%以上と高く危険なため、現在は三種混合ワクチンで早期に予防が図られています。そのため乳幼児の百日咳は激減して殆ど忘れられた病気になっています。しかし近年ワクチンの効果が切れた高校生以上の大人が百日咳に罹患する事例が急増して来て問題になっています。当院近辺では2007~2008年頃に大流行がありました。成人の百日咳は乳児の百日咳のように死亡したりする事はありませんが、激しい咳が100日前後続くため、肋骨が折れたり、咳で失神したりする重症例も見られる事があり、専門医の診療が必要な疾患です。
  3. 結核
    肺結核は意外に咳が主症状になることは少ないものですが、気管支結核といって、太い気管支に病巣のある結核がたまに見られます。この場合は主症状は咳です。多くの場合初期には胸部X線でも異常が見られず、診断に苦慮する場合があります。当院は結核指定医療機関ですので、心配な場合はご相談ください。
  4. ライノウィルス
    もっともよく見られる風邪のウィルスです。通常最初に鼻水や喉の痛みから始まって2~3日で発熱がみられ、その後咳が出る場合が多いです。多くは安静や風邪薬等で治りますが、時にこじれて気管支炎を併発したりする場合もあります。
  5. RSウィルス
    小児の咳風邪の原因ですが大人の場合は大した症状になる事はありません。当院でははっきりした成人のRSウィルス感染症の経験はありません。
  6. クラミジア・ニューモニエ
    マイコプラズマに良く似た症状を起こす特殊な細菌です。
  7. インフルエンザウィルス
    インフルエンザはすべての事例で咳が出る訳ではありませんが、咳を伴う場合肺炎を起こしている可能性があるので注意が必要です。また感染後に咳が長引く事があります。

アレルギーによる咳

  1. 咳喘息、喘息⇒気管支喘息の項参照
  2. アレルギー性の喉頭炎、咽喉炎、気管支炎
    花粉などのアレルギーが咽喉や気管、気管支の粘膜に起こる場合があります。多くはアレルギー性鼻炎を伴いますが、合併しない場合もあり喘息との鑑別が困難です。
  3. アレルギー性鼻炎に伴う咳
    #2と似たような状況ですが、違うのは鼻炎の治療で改善する事です。鼻炎のため鼻汁が喉に流れ出すこと(後鼻漏)があったり、鼻閉のために咳が出る事が原因になります。

慢性気管支炎・気管支拡張症

  1. 喫煙関連の慢性気管支炎
    簡単に云うとCOPD(別項参照)の初期という事です。喫煙本数20本/日で10年から20年経つと、通常の喫煙者は殆どこの状態になります。普段から咳や痰が増えて来ますが本人は気にしておられないようですが、特に冬期に風邪をひいた際などに咳痰が増悪してなかなか止まらなくなります。対策としては禁煙が第一です。
  2. 副鼻腔気管支症候群
    慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎に随伴した気管支炎で、非喫煙者に多いです。慢性咳嗽の形で来院する場合が多いですが、風邪などから急性増悪で来院する場合もあります。鼻炎の治療が必要で、治療には長期間かかる場合が多いです。
  3. 気管支拡張症
    多くは#2に合併しますが単独の事例もあります。症状は無症状から、咳だけ、痰だけ、咳と痰、血痰などさまざまです。専門医の治療が必要です。

胃酸の逆流 GERD

胃酸の逆流GERD(Gastroesophagial Reflux Disease)は、別名逆流性食道炎などとも呼ばれ、胸灼けの主な原因ですが、咳や胸痛の原因としても注目されています。
じつは日本で最近増えている咳がこれです。欧米では咳の60%以上がGERDがらみと言われる程ですが、日本ではまだまだ注目度が低くて専門医でも充分な診断ができない状況があります。以前出席した講演会で咳嗽ガイドラインにも関与している(自称)咳の専門家が日本の慢性咳嗽、遷延性咳嗽のうちGERDの診断例は5%以下などと述べて(当院での経験では30~50%はある)、院長と論戦になった事もあります。
なかなか止まらない咳の場合まずGERDが関与していないか検討する事が重要だと思います。GERDが関与しているかを疑う場合は胸灼けの既往がある場合、出産経験のある女性、肥満者、咳き込んで止まらなくなりおえっと吐きそうになったり実際に嘔吐した事例などです。

いびきによる咳

いびきがうるさい方、睡眠時無呼吸のあるような方では通常の方と較べて、咳が止まりにくくなります。従って咳が長引く方にはいびきをかきませんかと、質問する事が重要です。原因としては、

  • いびきで喉が炎症を起こしやすく治りにくい
  • 無呼吸にしばしばGERDが合併する
  • 無呼吸の場合に口呼吸になっている場合が多く、喉が炎症を起こしやすい

などが考えられます。当院では咳で来院して睡眠時無呼吸症候群の治療に至った例が何例もいます。

間質性肺炎

膠原病やその他の原因で間質性肺炎という病気になる事が時々あります。原因は様々で、予後の悪い場合も多いので注意が必要です。初期の症状が痰の絡まない軽い咳が長く続く場合が多いので、気になる場合は専門医の診察が必要になります。

肺がん、その他悪性腫瘍

肺がんの初期症状として咳が続く事例は意外と少ないものですが、長引く咳の中に時々肺がんやその他胸部のがんが見られる場合があります。診断が困難な事例もあるので専門医の診察をお勧めします。

心因性咳嗽

専門医がいろんな治療や検査をしても診断に至らなかったり、治療効果が上がらなかった場合に最後に考えるのがこれです。咳は心理学的には不安の表象とされ、心理的なストレスを抱えている場合が多いです。診断は一目瞭然の場合と非常に困難な場合があります。